2010年第3回入選作品
最優秀賞
『畑作の頃』岩田 徳男
黒土の大地にトラクターの赤色と作業服を着た女性の彩が自然と溶け込むように調和して実に美しいです。作者本人もコメントしているように 「二人の意気投合」が写真から伝わってきます。秋の爽やかな雲も季節感を演出しています。
僕の記憶からすると大型農業機械を大胆に被写体として捉えて入賞した初めてのケースだと思います。
優秀賞
『山の貴婦人』松本 伸男
妖艶な山ユリの花と茎のほとんどにツタが絡まり 今にもツタが花を飲み込んでしまいそうな勢いが感じられます。森には霧が立ち込め、花や葉っぱにはところどころに水滴がつき、まわりの薄暗さが幸いしてか、オレンジ色の花びらの美しさが際立っています。
擬人化された写真のタイトルにもセンスが伺えます。
『夏休み』村田 隆敏
誰の心にもある夏の記憶を、呼び起こしてくれる作品です。これから海水浴場に向かおうとしている家族の楽しい様子が的確なシャッターチャンスで捉えられています。雲の形もじっと見ていると色んな形に見えてきます。期待に胸を膨らませた子供たちの表情が目に浮かぶようです。
優良賞
『盛夏』笹尾 健助
少し高い位置から撮られていて、広がりのある伸び伸びとした作品に仕上がっています。少し目線を変えるだけで見慣れた風景が時に新鮮に見えて来るものです。
もくもくと湧き出すように広がる夏の雲とヒマワリを見ていると心が自然に元気になってきます。
『空とぶうさぎ』新坂 桂司
この作者の年齢を後で聞いてびっくりしました。 若干8歳の少年の作品が入賞するというのは、このコンテスト始まって以来の快挙です。
空に浮かんだ雲を「うさぎ」だと思う発想(想像力)が素晴らしい。砂利道に出来た地や茶色い水溜り、サッカー場のゴールのようにも見える電線、その下を歩く人物と何なのか判断できないけれど赤い物体が1滴のスパイスのように画面を引き締めています。 何の変哲もない日常から物語を感じます。
桂司君はあまり何も考えず、ただ雲がうさぎさんの形に見えて面白いと思って撮ったのでしょう。その純粋さが写真を見る人に素直に伝わってきます。
『はやる想い』大沢 まさみち
昼食時の何気ない写真なのだけど、二人の子供の後姿にランチもそっちのけで、早く遊びたくて仕方がない「はやる想い」が写真からビンビン伝わってきます。食べずに残っている美味しそうなお皿の上のおむすびも印象的です。
人の心を写真で表すのはなかなか難しいのですがこの写真は確実に子供たちの心を、背中で表現し見える形にしています。